人民軍規定には、定期休暇は、年15日間、表彰休暇は、受賞した場合、15日間である。それにも関わらず、1982〜1983年までの約1年間、規定に依拠する休暇を実施してみた結果、副作用が現れ、中断された状態である。即ち、父母の苦労する姿と父母から北朝鮮社会の矛盾点を耳にする等により、軍服務に嫌気を感じるか、故郷の落ちぶれた経済事情、困難な家庭の姿等により部隊軍需品の不法搬出の事例が続出したためであった。これにより、「我々は、戦争のために殺されることを覚悟して人民軍隊に出てきたのだから、統一時まで休暇を取るな」と言うなどの煽動により休暇を中断したのである。
現在、休暇が公式的に実施される場合、父母死亡時、10日間の特別休暇を取ることに限定されている。しかし、幹部の私的使いと豚、鶏、山羊、鍋、食器、学習帳、筆記具等の不足した部隊物資を獲得するため、指揮官の黙認下に行われる公務出張にかこつけた非公式休暇が中隊当たり年間5〜6件ずつ行われている。
従って、兵士達は、服務期間中に計1〜2回の休暇しか取ることができない。
北朝鮮軍は、党及び軍事業務に至大な功労がある者を受勲者に選定、褒賞している。
褒賞時期は、定期褒賞と功労事項発生時授与される随時褒賞に区分される。また、授与権者により国家褒賞と個人褒賞に区分される。国家褒賞は、「朝鮮労働党中央委員会」の名において授与され、個人褒賞は、人民武力部長から部隊長に至るまでの指揮線上にある者の名において授与される。
国家褒賞の場合は、さらに勲章、称号、表彰、メダル等に細分される。褒賞において、勲章、称号、表彰等の相互間の較差はない。ただし、功労及び受勲の性格により表彰の種類が決定されるが、該当褒賞内においては、等級が定められている。国家表彰は、各種徽章と副賞等が与えられるが、個人表彰は、標識物や副賞がなく口頭感謝という形態で行われる。口頭感謝も授与根拠が明確でなければならず、授与手続も明示されており、個人履歴に記録するようにされている等、功績書だけを作成し、褒賞を上申する国家褒賞よりむしろ難しい。
褒賞を授与する手続は、次の通りである。
部隊員を集合させておき、小隊長等の部隊長が褒賞根拠と受賞者の功績事項を列挙し、「○○○同志に小隊長の名において感謝を送る」と宣言し、受賞者は、「偉大な首領様と親愛なる指導者同志のために服務します」と復唱する。このとき、普通、士官長が陪席し、未陪席時には、褒賞事項を通報し、個人履歴書に記録するようにする。褒章受賞者は、個人履歴書に記録され、進級等の評価時に反映される。
国旗勲章の授章式は、当時の状況により、受賞のため中央党まで出頭することもあり、自隊内で委任授与することもある。
区分 | 内容 | ||||
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金日成勲章 | □授与対象は、抗日パルチザン出身と作家、文化芸術部門等、主として精神的分野の功労者に授与 □一般戦闘成員も該当分野において全ての精神的影響を与えれば、受賞は可能 □褒賞中において最大の賞と評価され、その恵沢は状況により多様だが、一生生活を保障 | ||||
国旗勲章 (1、2、3級) | □国旗勲章は、3等級に区分されており、功労の程度により授与等級が決定され、連隊級党委員会において上申 □授与対象は、訓練と労力動員及び建設現場分野において優秀な成果を発揮した者 □受賞者に対する恵沢は、1級の場合、年老保障時、1日600gの食糧配給が与えられ、2〜3級受賞者は、入党や除隊時、職場配置等において多少恵沢がある。 | ||||
努力勲章 | □国旗勲章1級とほぼ同等の等級を持ち、功績分野も類似するが、主として軍官を対象に授与 □受賞者は、全ての面において優待 | ||||
戦士栄誉勲章 (1、2級) | □戦士栄誉勲章は、2等級に区分、1級は下戦士から小隊長まで、2級は下戦士に授与 □対象者は、危機状況及び危険要素克服時と特別な犠牲精神を発揮した者 □下戦士が1級受賞時は、国旗勲章1級と同等の待遇を受け、2級受賞時は、褒賞休暇10日間が与えられる。 | ||||
軍事服務勲章 | □軍事服務勲章は、3等級があり、軍官対象に授与される一種の勤続功労認定 □軍事服務中、特別な過誤がなく、服務年限により、1級は30年以上、2級は20年以上、3級は10年以上服務者に授与 | ||||
3大革命赤旗勲章 | □授与対象は、人民軍全部隊中隊単位を対象に授与される団体褒賞として3大革命赤旗勲章を争取した軍部隊成員に受賞 □受賞部隊選抜は、部隊の戦闘力判定結果合格時に限る。
□再測定後、合格判定時は、2重革命赤旗勲章と称する。人民軍では、連隊単位に3個中隊以上3大革命赤旗中隊育成を従容 |
区分 | 内容 |
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共和国英雄 | □授与対象は、主として戦闘要員として戦闘勲功と韓国浸透等の功績がある者 □死亡者である場合、付加的に銅像を建立し、出身学校の名称までも受賞者の名前に変える。 □2度受賞時は、2重共和国英雄と称し、これは、金日成勲章に次ぐ価値がある。 |
努力英雄 | □授与対象は、戦闘力発展、軍事建設、軍需工場、科学及び研究事業等の諸分野において卓越した功労がある者 □受賞者には、毎月30ウォンの英雄費が支給され、年老保障時、既存の労賃の70%と1日600gの食料が配給 |
区分 | 内容 |
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金日成表彰 | □授与対象は、訓練、労力動員、建設、研究事業等の諸分野において模範的な任務遂行者 □軍事建設局の場合、大型工事終了時、連隊級から1名程度受賞 |
金日成青年栄誉賞 | □授与対象は、社労青一群を対象に所属分野において成果優秀者 |
メダル
区分 | 内容 |
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軍事服務メダル | □軍事服務7年経過時、全人民軍に自動的に授与 |
軍功メダル | □授与対象は、主として下戦士として各種功労がある者 |
種類 | 対象者 | 授与権者 | 恵沢 |
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感謝 | 模範者 | 中隊長〜軍団長 金正日 | 個人生活記録カードに記録 |
表彰 | 感謝数回受賞者 | 連隊長、人民武力部長 各梯隊党委員会、金正日 | 表彰状(文件維持) |
表彰休暇 | 軍事課業遂行優秀者 | 連隊長〜師団長 | 表彰状及び勲章授与 15日間休暇 |
表彰贈物 | 英雄的功労 | 金正日 | TV、名入り時計、洋服等の贈り物を支給 |
家庭通信 | 功労者 | 連隊長〜師団長 各梯隊党委員会 | 個人生活記録カードに記録 |
軍旗写真 | 訓練及び軍生活優秀者 | 連隊長 | 95cm×15cmの軍旗の前で写真撮影(実家郵送及び中隊〜師団速報板掲示) |
期限前昇級 | 軍服務優秀者 | 連隊長 | 進級予定日より4〜5ヶ月早期進級 |
速報板掲示 | 付与された義務遂行優秀者 | 中隊及び大隊の政治指導員 | 大隊〜師団速報板掲示 |
3大革命赤旗登録証に記録 | 軍事訓練優秀者 | 中隊〜師団政治委員 | 赤旗登録証に記録 |
(3) 処罰
北朝鮮軍の処罰手段には、軍事処罰、政治処罰、財政処罰等の3種類がある。この内、財政処罰とは、対民被害時や、僅かな賄賂授受及び物品窃取、又は公共器物損壊等、財産上の被害を引き起こした場合に賦課される処罰である。被害の程度により、10〜50ウォンの金額が俸給から控除される。
◇「10日営倉制」再導入実施
金日成は、1991年頃、「人民軍隊の秩序が紊乱している」とし、1968年度に廃止していた「10日営倉制」を再導入し、軍団級軍保衛部管理下に150名程度を収容できる拘留場を設置し、犯罪及び過誤兵士を捕まえ、教養している。営倉に送致される対象者は、組織生活を無視し、勝手に行動する自由主義者、家庭不和・女性関係等の身上に問題がある者、任務遂行を完結できなかった者等である。
彼らは、拘留場内の1坪余りの部屋に、10〜15名が収容され、そのような姿勢で10日間継続して座っていなければならないので、1度入った者は、「2度行くところではない」と歯を震わしているが、食糧難により犯罪を犯す兵士の数は、継続して増加している。
最終更新日:2003/06/04
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